家族で幼馴染なアニメ映画ランキング 2

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年07月07日の時点で一番の家族で幼馴染なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.3 1 家族で幼馴染なアニメランキング1位
詩季織々(アニメ映画)

2018年8月4日
★★★★☆ 3.5 (64)
286人が棚に入れました
【陽だまりの朝食】北京で働く青年シャオミンは、ふと故郷・湖南省での日々を思い出す。祖母と過ごした田舎での暮らし、通学路で感じた恋の気配や学校での出来事...子供時代の思い出の傍には、いつも温かい、心のこもったビーフンの懐かしい味があった。そんな中、シャオミンの祖母が体調を崩したとの電話が入る。【小さなファッションショー】広州の姉妹、人気モデルのイリンと専門学校生のルル。幼くして両親を亡くした2人は、共に助け合いながら仲良く一緒に暮らしていた。しかし、公私ともに様々な事がうまくいかなくなってきたイリンはついルルに八つ当たりしてしまい、2人の間には溝ができ、大喧嘩をしてしまう。【上海恋】1990 年代の上海。石庫門(せきこもん)に住むリモは、幼馴染のシャオユに淡い想いを抱きながら、いつも一緒に過ごしていた。しかし、ある事がきっかけとなり、リモは石庫門から出ていき、お互いの距離と気持ちは離れてしまう。そして現代、社会人になったリモは、引っ越しの荷物の中に、持っているはずのないシャオユとの思い出の品を見つけるのだった。

声優・キャラクター
『陽だまりの朝食』坂泰斗、伊瀬茉莉也、『小さなファッションショー』寿美菜子、白石晴香、安元洋貴、『上海恋』大塚剛央、長谷川育美

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

全然観に来てる人が少なくて嘆かわしい!!!これは正しく2010年代版『秒速』ですよ!!!

新海誠監督の制作拠点としてもお馴染みのコミックスウェーブフィルムの新作
新海作品に強い影響を受けた新世代スタッフを中心に、中国のハオライナーズが「中国の都市を舞台に、中国の衣・食・住・行(行は交通)といった文化をテーマにした『秒速』みたいなのを作りたい!」と実に10年も前に持ちかけた話がキッカケとなった短篇3部作です




~陽だまりの朝食~
雨の降る北京を足早に行く男性、シャオミン
彼は喧騒とした都会の朝の中で、ふと故郷の朝の思い出を蘇らす
幼少期の好物であった三鮮米粉(さんせんビーフン)を祖母と食べた日々
そして淡い青春の日の隣にも三鮮米粉はあった
いま彼の目の前にあるのは、チェーン店で量産された米粉だ
もう思い出の味を口にすることは無いのか…そう思った矢先、1本の電話が入る…


~小さなファションショー~
中国第3の都市、広州は世界中のアパレルメーカーが拠点を置く現代のシルクロード
そんな広州で一流ファッションモデルとして働く女性、イリンは服飾の専門学校に通う実の妹のルルと二人暮らしをしていた
順風満帆かに見えたイリンの人生だったが、モデルとしての人気にも陰りが見えてきたことに焦りを感じ、自分を追い込んでしまう
やがてやるせなさの矛先は妹のルルに向けられ、イリンとルルは喧嘩してしまう
仲直りのキッカケを掴めぬまま、イリンはモデル引退をマネージャーに切り出すのだが、マネージャーからは1枚のメモが託される…


~上海恋~
90年代、上海の石庫門(せきこもん)と呼ばれるポピュラーな集合住宅で青春を過ごしたリモ、シャオユ、パンの3人
リモ青年は建築設計士となって上海に戻ってきたが、仕事は上手くいかず憤りを感じていた
そんな最中、男友達パンが引越しを手伝ってくれていると1本のカセットテープが発見される
それは淡い想いを抱いた幼馴染、シャオユとの交換メッセージを送りあったテープだった…
なぜリモはテープをシャオユに返さなかったのか?
なぜリモとシャオユは離れ離れにならなければいけなかったのか?
全てを思い出す為に、リモはテープを再生出来るラジカセを探し始める




まず率直に今作、『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』『君の名は。』といった新海作品が好きな人に是非観ていただきたいです


美麗な美術や作画は言うまでもありませんが、今作が描いているのはSFでもファンタジーでも無く、中国の等身大の日常です

中学校の制服がジャージだ、とか
蕎麦でも饂飩でもなく米粉が朝食だ、とか
日本で言うところの団地や長屋に相当する石庫門の作り、とか
色んなものが“あの『君の名は。』クオリティ”で丁寧に描かれつつも、オイラの様な日本人にはとても新鮮な光景に映るんです


ところが今作のストーリーの根幹で、“国や文化の違いがあっても人の青春は新海作品で描かれているモノと同じなんだ”という新海作品との共通点に辿り着くんです


新海作品と違うアプローチをしながらも、新海作品と同じ着地点に辿り着く
こんなに美しく、斬新で、面白い映画は今までにありませんでしたよ
文字通り、10年前では思いつかなかったであろう、2010年代版『秒速』ですねこりゃ


にも関わらず、プロモーションが上手くないのか東京都でも封切り時の公開館数は僅か5館
大作サマームービー真っ盛りの季節ということもあって、上映回数も来客数もまばら…


おかしい!
こんなに新鮮な作品を、今観ないで何時観るのか!?
けみかけは『詩季織々』を応援していきたいと思います
鑑賞料金は一律1300円の特別興行でお得
どうせ後からBDを後出しするんでしょうけど、鑑賞チケット提示で本編DVDも買えます(買いましたw)


個人的に、今後の日本のアニメ業界は“日本のアニメ制作の技術を海外の顧客や出資者に買ってもらう時代”が来てると思ってます
もう日本のヲタクの財布をアテにする時代は終わりました
そういう意味でもハオライナーズ、ビリビリ動画、NETFLIXが配給に協力している今作は新時代への回答を既に提示してると言えるでしょう


その一方で、エンドクレジットを観れば純粋な日本人のスタッフが制作現場の中心を担っていることがよくわかります


誰にでも出来るわけではない
日本人だからこそ作れるアニメを、世界の人にお金を払って観てもらう時代の到来と言えます
あなたも今作を鑑賞してみて、時代の先駆者になってみるのは如何でしょうか?

投稿 : 2024/07/06
♥ : 20

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

新海色が強いですが、映像・話・詩情・テーマすべて高水準です。

 チャイニーズ新海です。とはいっても出来は悪くないです。日本との合作のようですが、中国というのはやはり文化文明の国ですね。ここまでのレベルに到達しましたか。ちゃんと詩情があるじゃないですか。良い映画だったと思います。

 映像も日本の真似ではあるでしょうけど、日本だってアメリカやヨーロッパ、古くは中国文化へのあこがれと模倣でやってきた国ですのでお互い様です。日本の真似からどこまで独自性を生み出してゆけるか、というところまで届きそうです。


 1番目のビーフンのやつの出来は素晴らしかったと思います。食事と食堂という視点で成長と時代を見事にとらえ「豊かさとは何か」を描けていると思います。

 手間暇かけた化学調味料を使わない、1つの料理だけ出し続ける店。その食事の調理方法の説明は映像を含め素晴らしい出来栄えです。そして家族である祖母と一緒にいつも通りに食べる食事。素朴で質素で単純であるけど、そこにある精神的な充実と食事の本質を描写していました。

 そして、青春時代。機械が入って子供時代よりも多分味も質は落ちたでしょうけど、ビーフンを愛する奥さんが切り盛りする店の味はおいしいでしょうし、何といっても初恋の味ですね。
 おそらく儲けたいか楽したい旦那の葛藤の末、なくなってしまった食堂。ここに中国の資本化…日本でももっと昔に経験した失われた何かが表現されていました。
(なお、中国人の料理人は試験を通った料理人以外はかなり低い地位で、常に違う職に移る…という風俗らしいですので、それも入っているかも)

 そして超近代化した北京で食べるチェーン店のビーフン。まあ、機械と化学調味料の味ですよね。そしてそこで終わらないでラストですね。時代の節目を感じさせる良い終わり方だったと思います。
 もう少し視聴者を信じてセリフを少なくて映像だけで見せたほうが数段良くなったかな、という気はします。


 2番目のファッションモデルの話。これはちょっと話を作りすぎたかな、という気がします。家族に対する義務感とか売れなくちゃ、加齢に対する恐れを妹とライバルの若いモデルを使って描かれています。ちょっとステレオタイプな女性的な男性も出てきますし、うーん…という感じです。
 妹が描きたいテーマなのか、自分らしさなのかを切り分けて集中した方がもっと自然なストーリーになったかな、という気がしました。もちろん、妹がいたからこその義務感とプレッシャーだったんだとは思いますけど…誕生日とか恋人とかライバルがちょっとうるさかったかな。「すずめの戸締り」の環さんのまだ挽回できる年齢バージョンですね。

 作画も1話目よりは落ちる気がしました。印象として現代の中国の方がもう日本よりもスタイリッシュですよね。ここもちょっとテンプレ感はありますがタワーマンションの生活やファッション界の描写はなかなかよかったと思います。

 3番目は気持ちのすれ違いもの、ですね。それこそ秒速5センチメートル感がかなりあります。もちろん詩情とかダメージとかカタルシスとかそういうのは本家にはかないませんが、本作も結構いい話になっていました。青春ものとして、立派に「あの頃」とか「実は」とか「過ぎた時間」についていろいろ考えさせる作りになっていると思います。

 まあ、最後は新海監督ほどマゾじゃないんだと思いますが、そこをどうとるか、ですね。私はほっとした半面、そこが惜しいなあという気はしました。


 ということで、1番目のビーフンはかなり秀逸。日本に持ってきても上位に食い込む出来だと思います。3番めは露骨な新海フォロワー過ぎますが、ほろ苦くもさわやかな青春もので良い出来です。2番目がもう少し絞り込めていれば…という気がします。もう少し頑張りましょう、かな。

 全体として食事の描写がよく、自分の家族、家、故郷、文明化によって失われるもの、時間などなど一貫したテーマのオムニバスとして、非常にいい出来だと思います。

 作画はうーん…2番目がなあ…4かな。話は4点…いや、1番目が素晴らしいので4.5。キャラはオムニバスですが、3作とも主役の出来がいいので4.5。音楽・声優は調整で両方4にします。
 時間的にも80分もないですので、ストレスなく見られましたし、主観的にも満足度は高いです。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 7
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

20年前の朝食ってなんだった?

この話は三篇の話
四季折々といいながら(いってない)三篇に渡って構成されている中国アニメ。

三篇といっても個々の共通点はゼロ。強いて言うなら舞台は中国、という以外全て独立してます。ただテーマは一貫した物となっています。
共通といってよいのかわかりませんが、「時代の移り変わり」を様々な視点から捉えた作品となっています。
本作を一応中国アニメ、と評しますが制作チームの中には「」新海誠さんたちが所属する作画チームが参加しています。新海誠らしさは感じ取れませんでしたが、やはり雨の描写は流石でしたね。

中国アニメ、といえばとりあえず戦ったり、とりあえず世界最強決定戦を開いたり、と荒々しいイメージでしたが、本作は「時代を移り変わり」を主としているため、イメージとしては「言の葉の庭」のような(制作会社が同じで雨の描写が印象的だったというのもあります。)静寂かつ鮮明な心象を表しいている作品となっています。
この「時代の移り変わり」に着眼点を置く、というのも良いのですが、それを複数の異なる焦点をもって捉える。この発想は素晴らしいですね

別に小説(複数の作家の短編を載せているやつ)などでは珍しくはない表現の仕方なのですが、アニメでは珍しく、新鮮なものでした。
「時代の移り変わり」は日々の生活にあふれているもので、それ自体は珍しくありません。が、それを多角度から捉え、意識することでなんてことない日常を時代の移り変わりを感じさせる特別なものに感じさせる(残念ながら未だに日々を特別に思えないのですが)、そんな作品となっています。

話の内容としては「朝食」「ファッションショー」「上海」、と一般市民から見た「時代の変化」を表したかのような内容。
客観的な自己視点、という描写が多かったのも特徴的であり、このテーマの意義と非常に合致しています。
これを他者による語りならば実感はなく、ただただ空想にしかなりませんでしたし、ただの主観的感想を述べているだけだったら日記となんら変わりません。
しかし、客観的な自己視点を採用することで過去現在、そして未来の自分にまで範囲を広げることが出来ます。非常に考えられたものであり、評価せざるを得ません。
一つあたりの尺が短く、気軽に見れるというのも長所の一つです。

しかし
{netabare}
時代の移り変わり、というどうしようもなく抗うことの出来ない事象に対して、それでも抗ったり取り戻したりしようとする、という行為を描いているくせに、終わり方は完結。移り変わりという流動的な現象を完結という手法にしてしまうせいで違和感となり、本作を見終わったときに「ええ終わったのか」とあっけなさ、というか物足りなさを得る。まぁ純粋に一つあたりの尺が短いから、というのもありますが。
{/netabare}
さらに、テーマを重視したおかげで内容自体が薄い
{netabare}「過去を回想しながら今日も飯を食う」「トップモデルで限界が見えたが妹のためにもモデル続ける」「テキトーに返事しまくったらアンジャッシュしてたけど、夢を叶えたあと再会した」てだけですからね。かなり薄い。{/netabare}
まぁ雰囲気やテーマに合わせるのならば仕方のないことなのでしょうが。
しかし、やはり着眼点やテーマは素晴らしく、好印象です。
内容自体は薄く、矛盾してるかのような作品でしたが、楽しめたことには変わりなく、間違いなく中国アニメの印象が変わる作品であると思っています。

{netabare}
個人的には朝食は面白かったです。時代の移り変わりをダイレクトに、そして客観的に描写しており、「儚くも鮮明な人生」を体現したかのような、作品。
しかもそれを朝食、という一つのものに焦点を当てただけで表現できるんですから本編は純粋に褒めなければなりません。着眼点もさながら脚本も「移り変わり」を意識したものであり、詩季織々にあっていると思います。
{/netabare}

「陽だまりの朝食」の監督は中国の方
「小さなファッションショー」の監督は日本の方
「上海恋」の監督は中国の方

作画はかなりよく、さすがといえる出来栄え。
主題歌はビッケブランカさんの「WALK」

移ろうのは時代だけだったか
ということで締めます

投稿 : 2024/07/06
♥ : 2

71.2 2 家族で幼馴染なアニメランキング2位
思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ映画)

2020年9月18日
★★★★☆ 3.7 (62)
283人が棚に入れました
偶然出会ったタイプの全く違う【朱里】と【由奈】、朱里の義理の弟の【理央】と由奈の幼馴染の【和臣】は同じマンションに住み同じ学校に通う高校1年生。理央に憧れる由奈、朱里に言えない想いを抱える理央、秘密を抱える朱里、ある秘密を目撃してしまった和臣。それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違っていき――切なすぎる恋が動き出す。

声優・キャラクター
鈴木毬花、潘めぐみ、島﨑信長、斉藤壮馬

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

雨に降られても、アイツにフラれても死にはしないさ。……チョット痛いけどね……。

実写劇場版→本作→原作コミックレンタルの順で見ました。

【物語 3.5点】
全12巻の原作少女コミックを2時間程度に全て詰め込むなど土台ムリ。
よって一本の映画として成立させるには、
印象的な場面のシチュエーション変更も含めた
思い切ったシナリオ組み替えが必須になる。

本作は少女漫画のムードを残すことを重視した構成。
恋する少女二人の友情。
少女漫画特有の乙女の悶々、キュンキュンなモノローグも極力取り入れる。


ここは、一人語られる乙女心をジックリ咀嚼したい所ですが、
この尺では、モノローグを消化する間など取れるはずもなく……。

ツギハギになったキモチを想像力で繋げるのに苦慮している内に
話が進んでしまう感じで、私とはやや相性が悪かったです。


【作画 4.0点】
アニメーション制作 A-1 Pictures(←アニメ映画まで鑑賞した主たる動機)

恋愛と青春により世界が変わる。心情描写に説得力を持たせるため、
背景美術が、心を投影できるだけの四季の変化などを描き出す。

特に理央のトラウマなどとも結びつく雨の描写には注力。
“雨粒デザイン”なるポジションを新設し、
『SAO』シリーズのアクション、エフェクト等を担当してきた柳 隆太氏を起用。
一粒一粒に光が宿るアニメならではの表現がヤマ場を彩る。


人物デザインは原作の雰囲気再現と作画カロリー省エネの両立を目指す。
忙しい展開の中でもコミカルな顔芸も織り交ぜられ一服の清涼剤に。


【キャラ 3.5点】
女子重視。

原作の高校生の女子2人、男子2人のメインキャラクター構成→
主人公女子2人+男子2人にアレンジした感じ。

朱里に、恋愛と天秤にかける家族への想いを象徴するジュエリーボックス。
由奈に、幼少より恋心を育んだ絵本の王子様が登場する空想世界の演出強化。
など女子にはアニオリ設定や演出追加でキャラを補強。

一方で和臣の進路に影響を与えた兄・瑛士や、
和臣の恋路における成長の劇薬になった朱里の元カレ・亮介については、
アニメではキャラごと削除されている。


【声優 4.0点】
山本朱里役・潘 めぐみさん、山本理央役・島﨑 信長さん、乾和臣役・斉藤 壮馬さん

お馴染みのキャスト陣が安定感のある演技を披露する中、
目を引くのは、市原由奈役で、メインキャラは初となる新人・鈴木 毬花さん。

由奈は恋をすることで、最も成長し、性格変化し、周囲にも影響を及ぼす難役。
オーディションにて“満場一致”で選出されたという触れ込みに違わず、
そつなくこなす辺り、非凡な物を持っているのでしょう。

後年、本作が振り返られる際は、彼女の初主演作として語られるのかもしれません。


あと、朱里の母役の久川 綾さん。
家庭不和を招く神経質なママさんボイス。
どうもご馳走様でしたw


【音楽 3.5点】
劇伴担当は野見 祐二氏。
『耳をすませば』を観てアニメーターを志したという黒柳 トシマサ監督にとっては、
少女漫画アニメ映画化の本企画と合わせて、音楽もこの上ないご褒美か。

小規模オーケストラ編成にてクライマックスでもしっかり心情を盛り上げて来る。
一方で修羅場では、その音源をかなりド直球な昼ドラ風味に消費w


主題歌はBUMP OF CHICKENの「Gravity」
心情を直接語らず、状況や仕草を詳述することでより心情を浮き彫りにする、
相変わらず詩的な歌詞世界で揺れ動く青春を好表現。
他に挿入歌もありムード向上に寄与。


【感想】
率直に言って、私は一本の映画としては
実写版の方がまとまりがあり見やすいと感じました。
実写版は、少女漫画原作の恋愛物から、
恋路や進路を遮る大人の身勝手が作る空気をより強調するための、
演出強化、キャラの途中退場などが施され、
青春群像劇として一般化を目指した構成。
少女漫画慣れしていない私にとっては
実写の方がリズムを掴みやすかったのかもしれません。

よって、『ふりふら』初めてで、少女漫画はチョット……という方で、
声優にも興味がなく、漫画の実写化もOKな方には実写版をオススメしたいです。
(←エラく限定的なオススメ範囲w)


本作のバンプ挿入歌の見せ場シーン。
昨今アニメ映画、特に青春物において多用される劇伴ソングについては、
私は、ま~たMVかと野暮なことは言わずに楽しまなきゃ損だと割り切る方。
ですが、本作については、流石にこの尺で
ジックリ歌ってる場合なの?という疑問も頭をよぎりました。


本作鑑賞後は、男子にも、もっと胸キュンさせろ~といったモヤモヤを晴すため、
原作コミックレンタルにも手を出し、無事キュン死しましたw
『ふりふら』に振り回された、この一ヶ月……悪くなかったです♪

投稿 : 2024/07/06
♥ : 21

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

痛くて苦しくて、傷つけて踏み続けて

視聴前 少女漫画原作かぁ

視聴後 やっぱ私少女マンガきらいじゃないな

この話は全然タイプの違う女の子と偶然仲良くなった話
ジャンルは恋愛・学園・生徒
まずいいます。個人的には割と好きです。
少女マンガの何が面白くないかというと、少女漫画特有のご都合主義だと思うんですよ。あのご都合主義を取り除いて文を再構成したらきっとマシになるはずなんです。
そして本作。現実にも程がある。いや、果たして現実でこんなことがあるのか、私にはわかりかねますが、多くの人が想像している少女マンガとは違ったものを感じました。
少女マンガは少女のみが許された禁断の聖書だ、と中二の従姉妹がほざいていましたが、なかなか大人は足を踏み入れづらいですよね。まぁそれでも本作の壁は破っていいかなと思いますよ。
超がつくほど恋愛メインの話です。コメディシーンもあるっちゃありますが、少女マンガのノリなのであまり期待せず。故にこういう系に慣れてない方は悶えるかもしれません。前のカップルが映画を見た後より一層イチャイチャしてたのが腹立たしかったですが、ソレほどまでに本作は人間の恋愛心(果たして存在するのか)に鑑賞してくる作品でした。本作を見れば学生に戻りたいと一瞬でも必ず思います。

キャラはとても好きです。出てくるネームドキャラは全員ちゃんとした個性を持ち、物語に不可欠な存在となっています。超好印象。特にあかりちゃんが超可愛い。もう可愛い。語彙力がなくなるくらい可愛い。繊細のくせに自分の気持ちを抑えちゃって変に気遣ってしまう性格はたまらなく好きです。超かわいい。

どうでも良いかもしれませんが、このタイトル本当にすごいと思うんですよ。ジャンルの予想が容易にでき、あえて連用形で終わることで、続きを気にならせる、という手法。なおかつ(というか本命で)語感が最強。口に出したときの心地よさはエグい。

原作は咲坂伊緒さん。ストロボ・エッジやアオハライドの原作者ですね
監督は黒柳トシマサさん。船を編むなどの監督をされた方ですね
脚本は吉田恵里香さん。刀剣乱舞花丸や神の塔の脚本をされた方ですね
キャラデザは山下祐さん。うさぎドロップや終末のイゼッタなどのキャラデザをされた方ですね
劇判は野見祐二さん。耳をすませばや猫の恩返しを担当された方ですね
アニメ制作はA-1 Picturesさん。

作画は良かったです。雨の作画や光の演出など、難しく細かい作画なども丁寧に表現されており、臨場感のあふれる絵となっていました。動きも丁寧でしたし、ちゃんとものすごく鮮やかな作画で好印象です。
主題歌はBump Of Chickenさんの「Gravity」個人的にはもう少し違った曲のほうが良かったです
声優さんは豪華でした。キャラとよくあっており、キャラの魅力をひきたてていました。

総合評価 面白かった。やっぱ少女漫画は定期的に読むと面白い

投稿 : 2024/07/06
♥ : 14
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

初恋の王子様だったり、お姫様を夢見たことありますか?

 高校入学前の出会いから始まった、少年少女たちの思い込みと理想、夢、現実、黄昏が入交る正に少女漫画によくありそうな恋愛のお話だったです。
 自分の世界に入り込む少年少女達は、何思い、何を求め、彷徨っているのだろうか?思いを告げる場面などにおける、現実とかけ離れ実際はありもしない光景、演出がある意味、凄まじいです。
 とある少女の自意識過剰さは、とてつもなく本気であるのか?と疑ってしまうような言葉が、ある意味面白いかもしれないです。夢見ゆる少女にも注目です。

{netabare} 予習的に実写版も見たです。違いを感じるのは、半分以下内容が異なっていることです。また、アニメはアニメだけに正に高校生という外見なのに対し、実写はお世辞にも年相応に見えない、年齢詐称にも無理がある高校生に扮した、若者であるが成人たちだったです。{/netabare}

 4人の少年少女たちの間にそれぞれ、四角関係ならぬ、三角関係になっていたです。
 破局したと思いきや、考え直したり(それは、気が変わるというのでは?)、それが本心でなく嘘だったりと、一途だったり、自分に自信過剰だったり、勝手な思い込みから中を突き放したりと、見ていてめんどくさい気がしないでもないです。
 それが年頃の少年少女の考え方なのかもしれないけど、彼らは暇だなぁという見方も考えられたりもするです。人を好きになることは、自由ではあるのだが・・・・です。

 {netabare}雨のトンネルの中での告白シーンがあったです。そこで、言葉を出した瞬間、一瞬にして、景色が変わったところがあまりに唐突すぎたところにあっけにとられたです。再チャレンジとなる告白シーンの非常階段でも、確か花びらが降ったような同じような演出があったです。{/netabare}

 恋をすると周りが見えなくなるとは言うけど、{netabare} 突然の何かを重ねるシーンや、偶然にしてもそれを目撃した誰かさんの存在も{/netabare}凄さを感じたです。

 家族についても、「幸せとは?」を少し考えさせられたりもしたです。

 最後はうまく収まり、「これでいいのだ!」です。

投稿 : 2024/07/06
♥ : 8
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